不眠を整えるとき「朝」を見る理由
眠れない日が続くと、多くの人は「夜」に注目します。
何時に布団に入るか。
寝る前に何をするか。
スマートフォンを見すぎていないか。
ふとんに入ってから、どれくらいで眠れるか。
もちろん、夜の過ごし方は睡眠にとってとても大切です。
けれども、睡眠は夜だけで決まるものではありません。
朝起きる時間、日中の活動量、光を浴びるタイミング、夕方以降の過ごし方など、生活全体の流れが夜の眠りに関係しています。
特に、不眠が続いているときには、「朝起きる時間」が大切な手掛かりになることがあります。
「夜眠れないのに、なぜ朝を見るのか」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、夜の眠りを整えるためには、朝のリズムを整えることが助けになる場合があるのです。
睡眠は「夜だけ」の問題ではありません
睡眠に悩んでいるとき、どうしても意識は夜に向きやすくなります。
「今日こそ早く寝なければ」
「寝る前にリラックスしないといけない」
「布団に入ったら何も考えないようにしよう」
そう考えるほど、夜の時間に力が入りやすくなります。
もちろん、寝る前の過ごし方を整えることは大切です。
明るい光を浴び続けたり、仕事のメールを確認し続けたり、不安な情報を見続けたりすると、頭や身体が休みにくくなることがあります。
ただ、夜だけを整えようとしてもうまくいかないことがあります。
なぜなら、夜に眠気が来るかどうかは、その日の朝からの過ごし方とも関係しているからです。
朝、何時に起きたか。
日中、どれくらい活動したか。
外の光を浴びたか。
非常が長くなっていないか。
夕方以降に眠ってしまっていないか。
こうしたことが積み重なって、夜の眠りやすさに影響します。
睡眠は、寝る直前にだけ起こるものではありません。
一日の生活の流れの中で、少しずつ準備されていくものです。
起きる時間がずれると、眠気の来る時間もずれやすくなります
夜眠れなかった日の翌日は、できるだけ長く寝たくなります。
「昨日あまり眠れなかったから、少しでも取り戻したい」
「今日は予定がないから、昼まで寝ておこう」
「平日はしんどいから、休日くらいは寝だめしたい」
これはとても自然な反応です。
眠れなかった分を取り戻したいと思うのは当然ですし、疲れているときに身体を休めることも大切です。
ただ、起きる時間が日によって大きくずれると、夜に眠気が来る時間もずれやすくなります。
たとえば、平日は7時に起きている人が、休日は11時や12時まで寝るとします。
すると、身体にとっては朝の始まりが数時間後ろにずれることになります。
その結果、夜になってもなかなか眠気が来ない。
日曜の夜に寝つけない。
月曜の朝がつらい。
このような状態につながることがあります。
「眠れないから遅くまで寝る」
「遅くまで寝るから、夜に眠気が来にくくなる」
「夜に眠れないから、また朝起きるのがつらくなる」
このような流れが続くと、生活リズムが少しずつ後ろへずれていくことにもなりかねません。
これは、意志が弱いからではありません。
睡眠と覚醒のリズムがずれている状態として考えることができます。

「眠れなかったから長く寝る」が、次の夜に影響することがあります
眠れなかった翌日に長く寝ることは、短期的には楽になることがあります。
少しでも睡眠時間を補えたように感じる。
身体のだるさが少し軽くなる。
「休めた」という安心感がある。
そのため、長く寝ることがいつも悪いわけではありません。
ただ、不眠が続いている場合には「眠れなかった分を朝や昼に大きく取り戻す」ことが、次の夜の寝つきに影響することがあります。
人は、起きている時間が長くなるほど、少しずつ眠気が高まりやすくなります。
反対に、朝遅くまで寝たり、昼寝が長くなったりすると、夜に向けて高まる眠気が弱くなることがあります。
そのけえた、夜になっても眠くなりにくい。
ふとんに入っても寝つけない。
寝つけないから焦る。
焦ることで、さらに目が冴える。
このような流れが起こることがあります。
特に「昨日眠れなかったから、今日は早く布団に入ろう」と考える場合には注意が必要です。
朝遅くまで寝て、日中の活動量も少なく、まだ眠気が十分に高まっていないじょつあいで早く布団に入ると、寝床で眠れない時間が長くなりやすくなります。
前回の記事「寝床で長く過ごすほど、眠れなくなることがあります」でお伝えしたように、寝床で眠れない時間が長くなると、寝床が「眠れない場所」「考える場所」として結びついてしまうことがあります。
つまり、朝の過ごし方と寝床での過ごし方は、別々の問題ではありません。
どちらも、夜の眠りやすさにつながっています。
まずは「起きる時間」を大きく崩さないことから
睡眠を整えるとき、最初から完璧な生活リズムを目指す必要はありません。
「毎日必ず同じ時間に寝なければならない」
「休日も絶対に早起きしなければならない」
「少しでも寝坊したら失敗」
そのように考えると、かえってプレッシャーが強くなってしまいます。
大切なのは、できる範囲でリズムの大きな揺れを減らすことです。
たとえば、平日は7時に起きている人が、休日に12時まで寝ている場合。
いきなり休日も7時に起きるのは難しいかもしれません。
その場合は、まず10時までに起きてみる。
慣れてきたら9時台にする。
予定がある日だけでも、起きる時間を大きく崩しすぎないようにする。
このように、少しずつ調整していく方法があります。
睡眠を整えるときに大切なのは「正しい生活」を一気につくることではありません。
今の生活の中で、どこを少し整えられそうかを見つけることです。
起きる時間を見直すときには、次のような点を確認してみるとよいでしょう。
・平日と休日で、起きる時間がどれくらい違うか
・眠れなかった翌日に、起きる時間が大きく遅れていないか
・昼寝が長くなりすぎていないか
・夕方以降に眠ってしまうことがないか
・朝起きたあと、光を浴びる機会があるか
これらは、自分を責めるためのちぇえくではありません。
眠りにくさにつながっている条件を見つけるための手がかりです。
朝の光と日中の活動も、眠りの準備になります
朝起きたあとに光を浴びることは、生活リズムを整えるうえで大切な要素です。
朝の光は、身体に「一日が始まった」という合図を送ります。
特別なことはしなくても、カーテンを開ける、窓際で過ごす、少し外に出るなど、小さな行動でも始められます。
また、日中に身体や頭を適度に使うことも、夜の眠りに関係します。
一日中ほとんど動かずに過ごしていると、身体の疲労感や眠気が高まりにくいことがあります。
反対に、日中に少し活動できると、夜に向けて休む流れが作りやすくなることがあります。
もちろん、強い運動をしなければならないということではありません。
散歩をする。
買い物に行く。
家の中を少し片づける。
仕事や家事の合間に立ち上がる。
朝にカーテンを開ける。
こうした小さな行動も、生活リズムを整える一部になります。
睡眠を整えるというと「夜に何をするか」だけを考えがちです。
でも実際には、朝や日中の過ごし方が、夜の眠りの準備になっていることがあります。

睡眠は、生活の流れの中で整えていくもの
眠れない日が続くと、どうしても夜だけを何とかしようとしたくなります。
早く布団に入る。
目を閉じてじっと待つ。
眠れる方法を探し続ける。
「今日こそ寝なければ」と自分に言い聞かせる。
それでも眠れないと、ますます不安が強くなります。
でも、睡眠は夜だけで完結するものではありません。
朝起きる時間。
朝の光。
日中の活動。
昼寝の長さ。
夕方以降の過ごし方。
寝床での過ごし方。
こうした生活の流れの中で、眠りやすさは少しずつ作られていきます。
だからこそ、眠れないときに必要なのは「もっと頑張って寝よう」とすることだけではありません。
今の生活の流れを整理し、眠りにくくしている条件を見つけていくことです。
生活リズムを整えるというと、厳しい自己管理のように聞こえるかもしれません。
けれども、ここで大切なのは、自分を追い込むことではありません。
無理のない範囲で、朝と夜のつながりを少しずつ整えていくことです。
MindCompassで大切にしていること
MindCompassでは、睡眠の悩みに対して、認知行動療法や行動療法の考え方をもとに、生活や行動を一緒に整理していく支援を行っています。
「夜なかなか眠れない」
「朝起きる時間がずれてしまう」
「休日に寝だめにして、日曜の夜に眠れなくなる」
「朝起きられず、生活リズムが崩れている」
「薬だけではなく、生活の整え方も考えたい」
このような悩みがある方に対して、気合や根性で何とかするのではなく、今の状態を丁寧に見立てながら、取り組めることを一緒に考えていきます。
和歌山での対面相談に加え、オンラインで全国の方を対象にカウンセリングを行っています。
睡眠の悩みや不眠、寝つきの悪さ、中途覚醒、朝起きられないことなどでお困りの方は、一人で抱え込まずにご相談ください。
