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10月10日は世界メンタルヘルスデー|従業員の声を「聞くだけ」で終わらせない職場づくり

2026年10月09日

10月10日は「世界メンタルヘルスデー」です。

世界メンタルヘルスデーは、メンタルヘルスについての理解を深め、偏見をなくし、正しい知識を広げることを目的とした国際的な取り組みです。

2026年のテーマは、

「当事者の体験に耳を傾ける:本当の声から、本当の変化が生まれる」

とされています。

このテーマを見たとき、企業のメンタルヘルス対策にも、とても大切な視点だと感じました。

職場をより働きやすくしていくためには、制度や数字だけを見るのではなく、そこで実際に働いている人が何を感じ、何を経験しているのかを知ることが必要だからです。

ただし、「声を聞く」というのは、単にアンケートを取ったり、話を聞いて終わったりすることではありません。

今回は、従業員の声を職場改善につなげるという視点から、職場のメンタルヘルスについて考えてみます。

「従業員の声を聞く」とは、何をすることでしょうか

会社では、さまざまな形で従業員の声を聞く機会があります。

面談。

従業員満足度調査。

ストレスチェック。

上司との日常的な会話。

相談窓口への相談。

職場での雑談の中にも、働きやすさを考えるヒントが含まれていることがあります。

しかし、声を聞く機会を用意することと、その声が職場づくりに反映されることは同じではありません。

例えば、

「忙しいです」

という声があったとします。

そこで、

「大変ですね」

と話を聞くだけでも、その人にとって意味がある場合があります。

一方、会社として考えるなら、もう一歩先を見る必要があります。

なぜ忙しいのか。

仕事そのものが多いのか。

特定の人に仕事が集中しているのか。

急な仕事が頻繁に入るのか。

役割分担が分かりにくいのか。

同じ「忙しい」という言葉でも、その背景によって必要な対応は変わります。

声を聞くことは、職場で何が起きているのかを知る入口なのだと思います。

数字だけでは見えないことがある

MindCompassでは、ストレスチェックや集団分析を使って職場の状態を見ています。

例えば、

「仕事の量的負担が高い」

「上司からの支援が低い」

「役割の明確さに課題がある」

といった傾向が数字として見えることがあります。

こうしたデータは非常に重要です。

しかし、数字だけを見て、

「仕事量を減らしましょう」

「管理職にもっと声をかけてもらいましょう」

と対策を決めることは、できるだけ避けたいと考えています。

厚生労働省の「こころの耳」でも、集団分析は職場環境の良し悪しを判定するためではなく、職場環境改善のヒントを見つけるためのものと説明されています。また、結果を活用するには、上司や従業員など実際に働く人たちの視点が重要だとされています。こころの相談窓口

例えば「上司からの支援が低い」という結果でも、

上司と話す時間そのものがない。

相談したい内容と、上司が声をかけている内容が違う。

上司自身が仕事を抱えている。

誰に相談すればよいのか分からない。

など、背景はいくつも考えられます。

だからこそ、

数字から仮説を立てて、実際に働いている人の声と照らし合わせること

が重要になります。

「声を聞く」ことと「すべて希望どおりにする」ことは違う

ここも大切だと思います。

従業員の声を大切にするというと、

「従業員から要望があれば、会社はすべて応えなければならない」

という話に聞こえるかもしれません。

そうではありません。

会社には会社の事情があります。

人員にも予算にも限りがあります。

経営上必要な仕事もあります。

そして、一人ひとりの希望がすべて同じとも限りません。

大切なのは、

言われたことをそのまま実行することではなく、その声の背景に何があるのかを理解すること

です。

例えば、

「この仕事をしたくない」

という声があったとしても、

仕事内容そのものが嫌なのか。

やり方が分からず不安なのか。

責任が重すぎるのか。

他の仕事との優先順位が分からないのか。

人間関係に問題があるのか。

背景によって対応は変わります。

声をそのまま「要望」として処理するのではなく、職場を理解するための情報として扱うことが必要です。

「誰が言ったのか」を探さない

従業員の声を集めるとき、特に気をつけたいことがあります。

それは、

「誰がそんなことを言っているの?」

という方向に進まないことです。

例えばストレスチェックの集団分析で、

「この部署は上司からの支援が低い」

という結果が出たとします。

そこで、

「あの人が低くつけたんじゃないか」

と個人探しが始まってしまえば、次から安心して回答できなくなります。

従業員への聞き取りでも同じです。

相談したことで不利益を受けるかもしれない。

自分が話した内容がそのまま上司に伝わるかもしれない。

そう感じれば、本当の状態を話すことは難しくなります。

だからこそ、

個人を探すのではなく、職場で起きていることを見る

という姿勢が必要です。

ストレスチェックも従業員へのヒアリングも、誰かを評価するためではなく、職場の状態をより正確に知るために使うことが大切だと考えています。

声を聞いたあとが、職場改善のスタート

では、実際に声を聞いたあと、どうすればよいのでしょうか。

例えば、

「急な仕事が多く、予定していた仕事が進まない」

という声が複数あったとします。

この場合、

「急な仕事をなくす」

ことは難しいかもしれません。

しかし、

急ぎの仕事を誰が受けるのか。

優先順位を誰が決めるのか。

予定していた仕事をいつへ移すのか。

困ったときに誰へ相談するのか。

といった仕事の進め方は整理できるかもしれません。

改善策を考えたら、実際に取り組みます。

そして一定期間が経ったところで、

「以前より仕事を進めやすくなったか」

「別の負担が増えていないか」

「続けられる方法になっているか」

を確認します。

必要であれば方法を見直します。

声を聞く
→ 状況を整理する
→ 改善方法を考える
→ 実行する
→ 変化を確認する

というところまでつながって初めて、従業員の声が職場づくりに生かされていきます。

良いところについても、声を聞いてみる

従業員の声を聞くというと、困りごとや不満ばかりに目が向きがちです。

しかし、

「この会社のどんなところが働きやすいですか?」

と聞くことも大切です。

例えば、

困ったときに自然と周囲が手伝ってくれる。

休みを相談しやすい。

仕事を任せてもらえる。

上司に相談したとき、きちんと話を聞いてもらえる。

自分の仕事が誰の役に立っているのか分かる。

こうしたものも、職場に存在する大切な資源です。

改善というと、問題を直すことばかり考えてしまいます。

しかし、

今うまくいっていることを見つけ、それを続けられるようにすること

も職場づくりです。

ストレスチェックでも、全国平均より悪い項目だけを見るのではなく、良い状態にある項目について、

「なぜここは良いのだろう」

と考えることで、その会社らしい強みが見えてくることがあります。

世界メンタルヘルスデーを、職場について話すきっかけに

2026年の世界メンタルヘルスデーでは、当事者の体験に耳を傾け、その声を実際の変化につなげることがテーマになっています。WHOも、当事者が単に話を聞かれるだけではなく、意思決定やサービスづくりに関わることの重要性を示しています。
世界保健機関

これを職場に置き換えて考えると、

従業員の声を聞くこと自体を目的にしない

ということではないでしょうか。

話を聞く。

数字を見る。

会社側の視点も確認する。

そこから、職場で何が起きているのかを考える。

そして、できることを実際の仕組みや行動に変えていく。

MindCompassでは、この流れを大切にしています。

一人ひとりへの心理的な支援も必要です。

同時に、その人が毎日働いている環境について考えることも必要です。

個人への支援と、働く環境への支援。

どちらか一方ではなく、両方から取り組むことで、働く人が自分らしく力を発揮できる職場に近づいていくのではないかと考えています。

10月10日の世界メンタルヘルスデーを、

「最近、うちの職場はどうだろう」

と考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

MindCompassでは、和歌山市を拠点に、和歌山県内から大阪南部を中心として、ストレスチェック・集団分析、従業員への心理支援、職場環境改善まで、企業のメンタルヘルス支援を行っています。

従業員の声とデータの両方を見ながら、その会社に合った職場づくりを一緒に考えていきます。

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